感無量「卒業証書」〜紙切れ一枚が重い

（２００３年１２月２１日）

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我ながらよく勉強したな〜。 　「卒業証書」を手に、感慨にふけっている私。 　毎日毎日、宿題と予習に明け暮れた、この1ヶ月。 　授業中は全神経を張り詰めた、すごい集中力でエステルの顔を睨み続けていたのかもしれない、と今振り返って思う。 　この小さな文字でいっぱい書かれたテキストを、1ヶ月で教わるというのは、ドダイ無茶な話。 　中身は、「会話」だけでなく、「濃厚な文法」がびっしり。 　それだけに、これを全部身に付けられたなら、結構かっこいいスペイン語を話せるのではないか、なんて思う。 　きょう、エステルの最後の授業が終わると、ひとり一人に「卒業証書」を、読み上げながら渡しました。 　「グラシャス」と言って受けとった誰もが、じっと自分の証書を見ています。 　きつかったなー、ときっとみんな思ってる、と私は思いましたが、、、。 　モニカがカメラを構えました。 　私とパメラはとっさに証書を胸の前に掲げて、自分でも嬉しい笑顔です。 　お互いにメールアドレスを書きあったり、写真を撮り合ったり。 　見ると、カティはまだ教科書を広げてエステルに何か質問しながら書いています。 　「カティ、カメラを見て！」 　一騒ぎ終わると、パメラがバッグを肩に「チャオ！」と言ってあっさり出ていこうとしています。 　みんな慌てて「チャオ！チャオ！」 　その雰囲気で、みんなそれぞれ荷物を抱え始めました。 　わたしはお別れの挨拶をしそこないたくない、キニュアの、彼はもうドアの方へ向かっていましたが、彼の前に行って、「キニュア」と、右手と右の頬を差し出しました。 　彼は、握手と、私の頬に少し伸びたカールのきいた髭の頬をつけて、口篭もったような声で何か言いましたが、私には聞き取れませんでした。 　手を握ったまま、 　「必ずメールをちょうだいね」 　「帰ったらメール送るよ」と言ったのが同時でした。 　それから次々とみんながキニュアに、キューバ式挨拶をし、し終わった一瞬、この小さな教室いっぱいに、キニュアへの親愛と名残惜しさの空気が漂ったように思いました。 　私は、この別れのときが急に来たように感じて、何かに抵抗したい衝動に駆られていました。 　キニュアは、いつものように静かな背中を見せて、教室を去っていきました。 　あとに遺されたような私達でしたが、私は慌てて飛びついたときに付けてしまった、キニュアのワイシャツの肩の口紅が、ちょっと気掛かりです。