２８歳からのメッセージ 世界と日本、そして平和 （その１）

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２８歳の若い女性から寄せられたメッセージです。 ぜひ、お読みください。また、感想をお聞かせいただければ、幸いです。 第１回は、原爆認定訴訟です。

原爆認定訴訟を傍聴して （２００９・３・３１）

原爆症認定集団訴訟をめぐって、千葉地裁は「認定申請の却下を取り消す」と、原告勝訴の判決を出しましたが、その３日後、国が控訴をし、たたかいの場所は東京高裁へと移りました。 　この日、原告の高田末子さんは、法廷で自らの被爆体験を語りました。 高裁で語られた被爆体験 　１９４５年８月９日、高田さんは、６歳の時に、爆心地から３．５�q離れた長崎の自宅で被爆。見たこともない閃光や、強烈な爆風…残ったのは家の柱だけで、それ以外はすべて吹き飛んでしまいました。翌日から、叔母を捜しに、黒い雨に打たれながら町を歩きまわりましたが、そこで目にしたのは、亡くなった人や馬が川に浮き、焼けただれた顔をした人たちが「水をくれ」と助けを求めてくる、地獄絵図のような光景でした。高田さんは、その光景が夢の中にまで出てきて、ずっと怖い思いをされてきたそうです。 ４０度の高熱や出血が 　被爆から２週間後、高田さんの体には４０度以上の高熱や下痢、歯茎からの出血などの症状があらわれ、紫斑も出てきました。１２歳の時には腹膜炎でお腹に水がたまりました。その後も、脾臓の破裂や首の悪性リンパ腫、食道静脈瘤、不良性貧血、赤血球減少症などで体はむしばまれ、食道静脈瘤が再発したときには、洗面器に何回もの吐血、下血をしました。本当に、数え切れないほどのたくさんの苦しみがあったと思います。 国は原爆症認定の申請を却下 　２００２年、肝硬変を患っていた高田さんは、原爆症認定の申請を出しましたが、国は却下しました。そして翌年、高田さんは裁判をおこしました。めまいや倦怠感などの体調不良で裁判所に行けなかったこともあったそうです。 　高田さんはこの日、法廷で最後にこう訴えました。「国によって私たちは犠牲になったのではありませんか。病歴をよくみてください。現実に苦しんでいるのを見て下さい」と。 被爆体験を直接聞ける最後の世代 　私自身、高田さんの被爆体験を聞くのはこの場が初めてでしたが、高田さんの訴えは、聞いていて本当に胸が痛くなりました。私は以前、ある方に、「核兵器の恐ろしさを本当に理解するためには、多くの被爆者から被爆体験を聞かなきゃいけない。そこには、１人１人の人生が関わっているのだから。そして、あなたたちは、被爆体験を直接聞ける最後の世代なのよ。日本の四季や日本語の細かい表現が理解できて、恋をする気持ちとか、いろんな気持ちを想像したり、共感できるかどうかが、被爆体験を聞くうえで本当に大事。それを理解するにはある程度の年齢が必要。だからやっぱりあなた達が、被爆体験を直接聞ける最後の世代なの」と言われました。 夢だったハイヒールも履けない体に 　被爆体験を聞く中で、核兵器によって、多くのいのちが一瞬で奪われ、多くの人が、１度しかない大事な人生をめちゃくちゃにされたことを知りました。ある被爆者の方は、被爆して体に障害を持ち、夢だった赤いハイヒールを履けない体になってしまいました。またある方は、結婚の時に被爆者ということで差別され破談させられました。また、孫が障害をもって産まれた時に、自分が被爆者だからではないかと自分を責め続けてきた被爆者の方もいました。被爆者は「自分だけが生きててよいのか」と苦しみ続け、まわりの被爆者が亡くなっていく中で、「次は自分が死ぬ番かもしれない」と、今も恐怖とたたかっています。そして「もう２度と私のように苦しむ人がうまれないように」と、思い出すのもつらいはずの被爆体験を、必死で私たちに話してくれます。 命をかけた被爆者のたたかいをともに 　今、被爆者たちは、自分のいのちをかけて、たたかってるんだということを痛感します。全国で、原爆症の認定を求めて原告としてたちあがりながら、亡くなってしまった方たちもいます。国は、被爆者たちの声、そして原爆被害の実相から目をそらさず、一刻も早く、被爆者たちが苦しんでいる理由を“原爆が原因だ”と認めるべきです。 　私自身も、核兵器を１日も早くなくすために頑張り、被爆者と一緒に喜びあいたい。そして、長い間、恐怖や苦しみとたたかってきた被爆者のみなさんが、心から、生きていてよかったと思える社会をつくっていきたいと思います。

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