キューバより愛をこめて

年に一度の外交官婦人主催 チャリティーバザー

（２００７年１月２０日）

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毎年、ハバナの最高級ホテル、ナショナル・デ・クーバで外交官婦人たち主催のバザーがある。これは私たち外国人にとって楽しみな行事。というのは、故郷の香りを楽しめるから。無論、キューバ人にも人気があるイベント。 　いつもは、半円形に広がる海を見下ろして、そこここに、モヒートや珈琲を味わうカップルがいる静かな美しい庭が、この日ばかりは人で埋まる。 　私はまず、美味しそうなもの珍しいものが並ぶブースに行く。美味しいものは早く売り切れるからだ。 　パキスタンの店にはキューバ料理に似た手羽先の鶏肉を乗せた黄色の炊き込み御飯があった。大勢の人が取り巻いて買っていた。かなり食欲をそそったが、初めに御飯を食べてしまったら他のものが食べられなくなるので、そこはパスして、小さな肉まんのようなのを買って食べた。肉と野菜がしっかりして美味しい。 　スリランカの店で紅茶を買った。２５０グラム入り、５ＣＵＣ，（約６５０円）安い！昨年と同じ。日本だったら２,０００円以上する。この５月、ロンドンのフォートナム・メイソンで缶入り６ポンド（約１,２６０円）で買った。 　「この紅茶は美味しいのよね、とっても安いし」と、売っていた彫りの深い青年に言うと、「いい紅茶だよ、安いでしょ」と、微笑んだ。 　隣のブースで、焼いている串に刺した肉を訊ねると、マトンだと言う。香辛料のタレをタップリ付けてくれて、柔らかくとても美味しかった。思わず、「ケ・リーコ！」と言ったら、店のみんなが一斉に笑顔で頷いた。 　すぐ傍のベトナムの店で、焼き春巻きを売っている。これは昨年試し済み、３つ串に刺してあるのを３本買って、持ち帰りにした。 　インドの店では、しっとりした小さなケーキが、甘すぎず美味しい。やはりアジアの味が一番だ、我々アジア人には、なんて思いながら持参した日本茶を飲む。 　今年は日本の店が出ていない。大使が替わったから？とか。残念！ 　歩くのもままならない混み合いを人の流れに乗って進むと、ロシア、インドネシア、中国、チベット、チリ、グアテマラ、、、忘れたけれどまだまだいろんな国の店が並んでいた。 　ギアナの店にお洒落なドレスが並んでいる。前面に刺繍を施したオレンジ色のコットン・ドレス。この春、ベネスエラで５０ドルで買った茶色のドレスと色違いの同じものだ。訊くと、２０ＣＵＣ（２０ドル）と言う。半額以下だ！サイズはピッタリ。迷わず買う。得した気分。 　サント・ドミンゴの店で、珈琲を何故か買ってしまった。珈琲の国にいるというのに！売り手がうまかったのかも。３ＣＵＣだから、日本でなら安いが、キューバでなら高い！と、売り子の青年に言ったのだが、「でも、めったに買えないものだよ」と言われ、まあいいか、日本へ帰る時の私への土産でも、と買ってしまった。彼はキューバ生まれのサント・ドミンゴ暮らしの人だった。 　ロシアの店で、ピロシキを買って食べた。久しぶりのピロシキ、大好きで若いころよく食べたっけなー。美味しかった。 　どこか忘れた国で、クリームパンみたいなのを２個買った。今日、マリオが遊びに来るといっていたから、彼らにお土産。好き嫌いの多いキューバ人でもこの甘そうなパンならおやつになるだろう。 　ざわめきの中、バラの花束を抱えた男性がステージに立った。 　「紳士諸君、バラの花を買おう！愛とともに恋人に贈ろう、バラの花を！」 と、演説まがいの呼び込みが始まった。 　見ると、とても立派な薔薇だ。わぁっと男性が殺到した。口上が利いたのだ。 　本屋も出ている。民族衣装に包まれた女性が美しい。インド、ロシア、、、。 　キリスト教らしい店もある。栞やカード、キリストの人形。 　どこかの民族色のスカーフ、テーブルクロス、帽子、洋服、、、女性たちが群がって物色している。金やクリスタルなどジュエリーの店もある。見ているだけでも楽しい。 　突然、音楽が高鳴って、舞台の前へどっと人が移動した。何かが始まる。遅れてはならじと私も人を掻き分け。 　司会者の紹介で、民族衣装の女性たちのロシア舞踏が始まった。きれいな合唱まで聴かせてくれた。続いて、子供たちの可愛らしい踊り。みんな惜しみなく拍手している。 　「次なる登場はパキスタンのダンス〜！」と聞いて、どんな踊りかと興味津々。 　美しいベールに包まれているが、顔は隠していない、どころか衣装も派手。目鼻立ちの整った、ちょっと怪しげな目つきの女性たちが音楽に合わせて動くと、妖艶な雰囲気が漂う。素敵な曲だ。アラブ圏へ行ってみたくなった。アラブの国へ行くと、虜になるかもしれないな、と感じた。なんとも不思議な魅力がある。 　次に、激しいリズムで出てきたのはキューバの若い女性たち。セクシーなダンスが始まった。若者たちが口笛を吹いたり、やんやの喝采。キャバレー、トロピカーナ顔負けの、剥き出しギンギラギン衣装で、まだ１０代と思われる女の子たちが、ビートに乗って身体をピチピチクネクネ。どの子もとても可愛い、美人ぞろいだ。 　舞台が終わると、一斉に若者たちが花束を持って踊り子たちを囲んだ。写真を撮っている。みんなデレデレ。花束が売れるはずだ。 　ちょっと空腹を覚え、ロシアの店でデザートを食べる、美味しいー。ついでに可愛いお菓子袋を買う。思いついて二つ買った。 　２年前のこのバザーでは、欲しかったハンモックを買った。キューバでは、編んだものが１５０ドル以上はしていたのだが、ドイツの店で見つけたのは、厚手の布のハンモックで、１０ドルだった。嬉しくて、それ以来、お昼寝はハンモックに揺れて、となった。なにしろ気持ちイイのだ。いつの間にか眠ってしまう。 　今日はもう眠くなった、映画祭のことはまた明日。