キューバより愛をこめて

第２８回
“新ラテンアメリカ国際映画祭”

（２００７年１月２２日）

　”THE ROAD TO GUANTANAMO（グアンタナモ米軍基地への道）”という映画を見た。

　おそらくこれは実話だろう。

　イギリスに住んでいるパレスチナの若者が、祖国にいる恋人との結婚のためにパレスチナへ帰郷する。そこで米国によるアフガニスタンへの戦争を知り、友人たちとアフガニスタンへ行く。そこで、米兵に捕らわれ、

　「お前はタリバンの一味か？」と訊かれ、
　「違う」と言うと、いきなり頭を叩かれる。

　「お前はアル・カイーダか？」と尋問される。
　「ノー」と答えると、殴りつけられる。

　「オサマ・ビン・ラディンはどこにいるか？」と尋問され、
　「知らない」と答えた途端、殴り飛ばされる、、。

　酷い仕打ちを受け続け、ついにGUANTANAMO（グアンタナモ米軍基地）へ送られる。丸坊主にされ、手枷足枷を付けられ、頭から袋をすっぽり被せられ、、犬に追われ、、。

　そこでの米軍の非人道、残虐さに鳥肌が立つ。
　拉致された一人一人が実態を語る。
　よくぞ描いたと思う。

　MICHAEL　WINTERBOTTOM（マイケル・ウインターボトム）監督の今年の新作。日本でも封切られるといい、マスメディアが伝えない真実を知るのに。

　この映画祭は、商業的なところでは上映されない映画や、新人の作品などを紹介、発掘する。
　１０日間、４５０本くらいやるので、毎日出る「シネ・フェスティバル情報新聞」をチェックしながら、あっちこっち映画館の梯子をするが、とてもとても見きれない。

　料金は、１本、２ペソ（１０円くらい）なので、見ないと損、というくらいのもの。貴重なフィルムがいっぱい。
　ドキュメンタリーも面白いものがあり、これは無料。
　体力勝負なのだ。

　一昨日見た、WONG KAR WAI（ウオン・カー・ワイ）監督の「EROS（エロス）」はヒドカッター。
　キューバ人は正直なので、つまらないと途中で立つ。ずいぶん帰っていった。私は我慢して見続けたけど、時間を無駄にした。

　「グアンタナモへの道」の最後には、大きな拍手が起こった。